ワイジェの丘の戦い(十一)
おぼろん

フランキス・ユーランディアは、シュランクルの魔法を使って、
アイソニアの騎士に氷の矢を叩き込んだ。しかし、
魔法素子が薄くなってしまったこの土地では、
魔法は牽制の意味にしか使えなかった。

アイソニアの騎士は、魔剣ゾフィアスでシュランクルを叩き切る。
「こざかしい真似を。剣と剣とで勝負するのではなかったのか?」
「生憎だな。わたしは使えるものであれば、なんでも使う」
アイソニアの騎士も、魔剣ゾフィアスで風雷の呪文を繰り出した。

しかし、いかんせん魔法素子の濃度が薄い。
フランキスは、高笑いをしながら、アイソニアの騎士の攻撃を避けた。
「どうした? お前の魔法はそれだけか?」

アイソニアの騎士は歯噛みをする。すべては、
クールラントの兵たちが、撤退を終わらせるまでの我慢だ。
クールラントの兵たちは、まだおよそ四分の三ほどが残っていた。


自由詩 ワイジェの丘の戦い(十一) Copyright おぼろん 2022-04-19 09:02:41
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クールラントの詩