ワイジェの丘の戦い(八)
おぼろん

そのころ、アースランテの包囲陣の一隅が破られていた。
「活路は開けたぞ!」ラジーク・ユーゲルが叫ぶ。
そして、赤旗が掲げられた。これは勝利の合図である。
ファシル・グーゼンとノベル・ハイスは、それに呼応する。

「アースランテの一部の部隊を、我々が突破した。
 あとは、各自ラジーク・ユーゲルの元へ向かえ!」
しかし、五頭のワイバーンはまだ残っている。
そして、アースランテの弓兵たちも健在だ。

「たとえ、ここが俺たちの墓所となろうとも!」
ファシルとノベルは、アースランテの弓兵隊へと切り込む。
「クールラントを甘く見るな! ラゴスとの戦いにも勝っているのだ」

アースランテの兵たちはひるんだ。それは、
この二年間で急遽招集された兵たちも多かったからである。
「逃げるな、戦え!」アースランテの指揮者の声はむなしく響いた。


自由詩 ワイジェの丘の戦い(八) Copyright おぼろん 2022-04-18 08:58:15
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クールラントの詩