ワイジェの丘の戦い(二)
おぼろん

アースランテの攻撃は、クールラント軍が、
撤収の準備を終える前に始まった。
「いよいよか」ラジーク・ユーゲルは呟く。
ラジーク・ユーゲルは、この軍の全軍指揮を任されていた。

「良いか、荷物は捨て置け。まずは己の身を案じよ。
 生きて、この包囲陣を突破することだ。心配ない。
 アースランテの軍隊は我々とほぼ互角の戦力なのだ。
 巧妙な罠が敷かれていない限り、確実に突破出来る」
 
ラジーク・ユーゲルの宣言に、クールラント軍は沸き立った。
その傍らで、ラジークは魔導士エインスベルに告げていた。
「一番防御の厚いところに結界を張れ。我々はそこを通って突破する」

「一番防御の厚いところですか。そこには多分、アイソニアの騎士が……」
「そうだ。そなたの宿命の相手。そして、フランキスの宿敵でもある」
「これは、予想外に大きな戦いになるかもしれませんね」


自由詩 ワイジェの丘の戦い(二) Copyright おぼろん 2022-04-16 07:22:08
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クールラントの詩