ライランテ戦争開戦(六)
朧月夜

一方、クールラントの千人隊長の一人である、
ラジーク・ユーゲルは、中空を見据えながら、憮然としていた。
「この戦いはどこかおかしい」と。彼は罠があることを疑っていた。
「どうなさいましたか、ラジーク様」兵士の一人が聞く。

「アースランテの前衛部隊が、あまりにも少ない。
 これでは、我が軍とラゴスが連合すれば、各個撃破も出来てしまう」
「その通りですね。補給部隊も後衛に配置されていますが、
 その周りには六万の兵士たちが、取り囲んでいます」
 
クールラントの遠征軍は、アースランテの補給部隊を攻撃するように、
ラゴスの軍務大臣シュランク・エルベに要請されていた。
そして、二方面からアースランテを挟撃するのが当初の作戦だったのだ。
 
「これは、かませ犬の役割を振られたかな?
 至急、ラゴスのシュランク・エルベに使いを出すように。
 しかし、我々がラゴスを疑っていることは、おくびにも出してはならぬ」


自由詩 ライランテ戦争開戦(六) Copyright 朧月夜 2022-04-14 06:48:06
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クールラントの詩