ライランテ戦争開戦(五)
朧月夜

しかし、ラゴスの国でも侵攻してくる軍隊を、
ただ座して見ていたわけではない。
各々の邑(=むら)には、様々な魔道具が配られた。
その中でも最も優れていたのが、ミスフィオという杖である。

この杖の正式名称は、ミスフィオ・バッテという。
この杖を向けられた敵には、炎の弾丸が射出される。
すなわち遠隔攻撃の魔導具である。
南部の小規模な街々を奪われたラゴスでは、

追い出された市民たちが自警団を作っていた。
これらの自警団に、アースランテも苦戦を余儀なくされた。
いわゆるゲリラ戦である。これは攻撃側にとっては痛い。

ラゴスの軍務大臣である、シュランク・エルベは静かに言った。
「これは、縦深防御です。敵を出来るだけ深く誘い込んで、叩くのです」
シュランクは小国ラゴスにおいては、ことに優れた学識を持っていたのだ。


自由詩 ライランテ戦争開戦(五) Copyright 朧月夜 2022-04-14 06:47:18
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩