ライランテ戦争開戦(二)
おぼろん

サンクト・ガリは、すでに要塞の用をなしていなかった。
それは、過去のアースランテとの戦争で、
あちこちの城壁を破壊されていたからだ。
ラゴスは国土の中南部にあるナハテ・ガルに要塞を築いていた。

ここからであれば、ラゴスの国境のすべてに、
一日か一日半の時間でたどり着ける。
今、ラゴスは危機に瀕していたのである。
クールラントも、いつ裏切るやもしれぬ。

ラゴスの軍務大臣シュランク・エルベは言った。
「クーラントの援軍には、かませ犬の役目を負わせましょう。
 この期に、クールラントの勢力を削いでおくのです」
 
「しかし、クールラントの軍隊に気づかれませんかな?」
「心配は無用でしょう。アースランテの次の目標は、クールラントなのです」
ラゴスは首都を守るだけで精一杯だった。さすがに十万の軍の相手をしては……


自由詩 ライランテ戦争開戦(二) Copyright おぼろん 2022-04-13 06:25:24
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