Unmade
ひだかたけし
雨に濡れ
雨に立ち尽くす
あなたはあまりに未完成
過ぎた日々を取り戻すように
遠い記憶にすがりながら
神々の不在に安堵する
(もう記憶は麻痺してしまい
過去は鮮やかな像を結ばない
ただそのあたたかな感触だけ
何処か深みから沸き起こる)
雨に濡れ
雨に立ち尽くす
あなたはあまりに未完成
遠い潮騒を聴きながら
うねる灰色の海原をみいっている
神々の不在に安堵しながら
色褪せた過去の記憶に寄り添いながら
世界に亀裂が入るのを
眩めく予感のうちに感じている
不在のうちに神々は
あなたの歩みを促して
あなたはあまりに未完成