見定める
武下愛

結局静寂がなかったのが原因なのだろう。私の試作は粗々しく、静寂を知らなかった。一点の波紋を観察することで分かる事もあっただろうに。歪んだ景色が映っていたのだろう。そこには書きたい衝動や、書かなければという圧迫感すらあった。満足ということを知らなかった。年を重ねるということはこういう事かと、見ている。それとも空腹だったのかもしれない。寒い事にはもう慣れたつもりでも。寒さに耐えかねてぬくもりを探している。一時的なぬくもりに感謝できないのであれば、自分に合ってないのかな。私の周りには厚手の服より、半そで半パンの男女が多いのかもしれない。相性が悪いのかもしれない。分け与えることを続けて思ったのは、一定の欲を満たしてしまったら、人は離れていくのだということ。私はいまだに果物を実らせる枯れていない樹木なのだろうか?一時的な止まり木なのだろうか。お互い様であることは視野に入りづらく。言葉にするにはまだ早い題名達が。燻っている。


自由詩 見定める Copyright 武下愛 2022-04-11 09:39:41
notebook Home