にんじんを刻みながら
風のみつ編みをおもう
それは水面をふるわせ
はげしく雨を叩き合せる
老女につかまれる
ほそくて
ながい
時のすがたを知れる

おしゃべりなちえの輪
ま綿の花束
みんな欲しかった
曲げたり手折ったり
水の檻に閉じこめた
ビニルの中で窒息してゆく
あなたが欲しい

けれど沈めた
ベルンの湖畔に
ひとつ残らず
ちいさなバスに運ばれてゆく
対岸に向けて
苦しみのそばに浮かびあげたい

もえる焔をまるめて
戸惑いをしまい込んだ拒絶
そのくちびるにこめた怒りを
吸いたい、蝶々のように
あつめた解放
傘の外は海