開戦前夜(五)
おぼろん

開戦を前にして、アイソニアの騎士は、
アースランテの首都であるハンザガルテに呼び出された。
正式に千人隊長へと任命されるためである。
人々は熱狂的にアイソニアの騎士を迎えた。

アイソニアの騎士が守っていた、ナゴス・ラダには、
アースランテの魔導士であるキロスケアが遣わされた。
「アイソニアの騎士は強い。一人で十人分の働きをしてくれよう」
というのが、ハンザガルテの住民たちの意見だった。

「それで、わたしは何をすれば良いというのでしょう?」
「それぞ。余はお前に軍の先陣を切ってもらいたいと思っている」
「前線に立つということですか? それで兵たちが納得しましょうか?」

「お前の勇猛さは、兵士の誰もが知っている。
 よもや味方を自分の身代わりにするとも思えまい。
 お前にはラゴスの新たな砦、ナハテ・ガルを攻撃してほしいのだ」


自由詩 開戦前夜(五) Copyright おぼろん 2022-04-10 08:42:16
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クールラントの詩