ぬかるみ
凪目

まよなかに
めがさめるのは
きのうがきょうを
こいしがるから
こまぎれに
くだけてきえるひとつのあかりが
さびしくて
こころぼそくていられないから

君が寂しさと呼ぶものが
僕には植物と見分けがつかない
君の血管は大地をくだって
柔らかな祝祭を吸い上げ続ける
僕が不在と呼ぶものは
君の空には浮かんで見えてる
なみなみと
ひかりたたえた
はるけきまどかが

僕の空にも
寂しい月が
見えるといいと思ってた
目をくり抜いて
僕のと君のをとっかえて
そしたら君にも僕が見える
見えたらいいと思ってた

昨日は先月になって
先月は千年前になる
千年前は昨日になって
昨日が僕にしがみつく
真夜中
恋しくて目がさめる
寂しくて目を潰す
何度会っても
君とはいつも初めて出会う


自由詩 ぬかるみ Copyright 凪目 2022-04-10 00:06:59
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