虐殺の街
ひだかたけし

軽やかに
憂鬱に
雨降りのなかを
舞いながら
虐殺の街へ
至る
情報は不断に
操作され
犠牲者の数だけ
浮遊する
この世界という
荒涼とした廃墟
戦禍は絶え間なく
欲望は欲望を越え
増殖する
傍ら
私たちは
暗鬱なダンスを
軽やかにこなし
今日も家路を急ぐ

裁き手を欠いたまま
裁き手を欠いたまま

重なり合う
絶望の深淵が
顔無き死体の累積を
無関心のうちに
消去してゆく
















自由詩 虐殺の街 Copyright ひだかたけし 2022-04-04 19:26:20
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