静止画
ひだかたけし

緩やかな風が吹くようだ
穏やかな陽射しが降るようだ
わたしは微かに震えている
遠い記憶の化石のように

何も此処から始まらない
永遠に時間は止まっている
宙空に太陽が輝いて
優しい無関心に微笑んで

(遠い街の砲撃の音は止まず)

邪気ない風が吹くようだ
純白の陽射しが降るようだ
わたしは微かに泣いている
遠い記憶の化石のように

天空を
白雲が流れていく
ただひたすらに
流れていく

(遠い街の砲撃の音は続いて)







自由詩 静止画 Copyright ひだかたけし 2022-03-30 17:41:42
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