呪いのネックレス(二)
おぼろん

「わたしは誰も持っていないものが欲しいのだ。
 ギボーシュのネックレスはそれにふさわしかろう?
 大丈夫だ。人前でそのネックレスをつけることはない。
 お前には何の迷惑も心配もかけない」

「しかし、ギボーシュのネックレスには黒い噂が……」
「噂を気にしていて何になる。噂は噂だ」
「分かりました。ご依頼をお受けいたしましょう」
「そうだ。報酬はいつもの倍払おう」

「ですが、奥方。その後のことには責任は持てませんよ」
「かまわない。わたしは至宝の宝が手元にあれば良いのだ」
「それなら、かまいませんが」

そして、盗賊ヨランはカラスガラの博物館に忍び入ることになった。
カラスガラの博物館の結界は手薄だった。誰もが、
貴重品よりは日々の生活に必要なものを重視していたからである。


自由詩 呪いのネックレス(二) Copyright おぼろん 2022-03-29 02:52:04
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クールラントの詩