呪いのネックレス(一)
おぼろん

閑話休題として盗賊ヨランの話をしよう。
盗賊ヨランは、カシュガル夫人にギボーシュのネックレスを、
盗んでほしいと依頼されたことがある。
もちろん、盗賊ヨランは依頼されたことは確実にこなす。

クールラントの国では、所有権というものが曖昧であった。
強い者が強き魔力を持ったものを手に入れる。
そうしたことは、平然とおこなわれていた。
ギボーシュのネックレスは、カラスガラの博物館に、

陳列されていた。しかし、カラスガラの博物館の結界は弱い。
盗賊ヨランにとっては、その盗みはたやすいように思われた。
「お任せください、わたしがギボーシュのネックレスを盗み出します」

しかし、そのネックレスには呪いがかけられていたのであった。
すなわち、その所有者を狂わせる力である。
今、ギボーシュのネックレスは博物館にあり、災いをもたらすことはなかった。


自由詩 呪いのネックレス(一) Copyright おぼろん 2022-03-29 02:51:03
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クールラントの詩