来訪者(五)
おぼろん

「そのヒスフェル聖国のオスファハンが、
 アースランテ国王と通じているとしたら、
 どうでしょうかな?」
ハザック・アザンは冷静に言った。

エインスベルは驚いた。
「ヒスフェル聖国は魔導士の国である。
 それが、軍事国家であるアースランテと折り合うわけがない」
「はたして、そうでしょうかな……」

エインベルはハザック・アザンの冷たい笑いに身震いした。
「あなたの行くところは、もうどこにもないのですよ。
 おとなしく、アースランテに参じることです」
 
しかし、エインスベルは言った。
「わたしはどこにも行かぬ。クールラントの地の他へは」
その声に、落ち着きと冷静さとはなかった。


自由詩 来訪者(五) Copyright おぼろん 2022-03-28 02:39:12
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クールラントの詩