来訪者(三)
おぼろん

「クールラントは正式に、
 わたしを敵とみなしているわけではない」
そんなエインスベルに、ハザック・アザンは答える。
「時間の問題なのです。アイソニアの騎士が追放されたように」

「クールラントがわたしを敵とみなすのであれば、
 わたしはいつでも亡命するだろう。
 しかし、今はその時ではない。
 アイソニアの騎士が感じたような危険を、わたしは感じていない」

「それは、オークの傭兵たちがいるからでしょう。
 彼らを雇えなくなったら、どうでしょうか?
 クールラントは、今でもレ・スペラスとの戦いの準備をしているのです」

「それも承知している。もし、戦端が開かれたのなら、
 わたしはどこかへ隠遁するか、ヒスフェル聖国へと向かうつもりだ」
エインスベルは、淡々として答えた。


自由詩 来訪者(三) Copyright おぼろん 2022-03-26 23:22:40
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クールラントの詩