来訪者(二)
おぼろん

「わたしはカーガリンデを裏切ってなどいない。
 ましてや、クールランの国とにあっては……」
「あなたは今、正魔導士の位にはありません。
 国家に仇名すやも知れぬ存在とされているのです」

「用はそれだけか?
 わたしは自分の身は自分で守る。
 そのためにも、オークの傭兵たちを雇っている」
「それが問題なのです」

ハザック・アザンは繰り返して言う。
「クールラントとレ・スペラスとは戦争状態です。
 いつオークたちがいつ攻め込んでくるか、裏切るかも分かりません」
 
「あなたは本当に自分の身が安全だと思っているのですか?」
「安全だなどと思ってはいない。しかし、クールラントの国は裏切れぬ」
「それがあなたの答えですか。正直落胆しました」


自由詩 来訪者(二) Copyright おぼろん 2022-03-25 22:42:16
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クールラントの詩