ひだかたけし

学ぶため、引き渡すため
風に吹かれて何処までも行く
一人になり二人になり三人になり
そして独りになり
泥水を浴び光を浴び
異邦の土地
遠い地平を目指し
進み行く

生まれ落ちた瞬間から
風は吹いていた
吹かれながら学んでいた
吹かれながら引き渡していた
これからもずっとそうだろう
退路を断たれ鼓動が止むまで
風は吹いて止まないだろう
(学ぶため、引き渡すため)

風を感じて、世界を感じて、
ある日芝生に降り立った自分を
不思議そうな目で見つめる君
(やがてこの残酷な世界を認め知る君)
どうやって消えようかなんて考えないで
君は一つの宇宙の爆発だ
迫る戦車の轟音を蹴散らして

今、あの大きな風が吹いている
君を僕をこの大地に繋ぎ留め
今、あの大きな風が吹いている








自由詩Copyright ひだかたけし 2022-03-19 20:05:09
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