盲目に値するもの
あおば

値段はおいくらですか
空から澄んだ声がする
木の葉が静かに舞っている
晩秋の並木道は
人通りが無いのに
かさこそかさこそ
賑やかな気配がする

値段は、
いくらでも構わないのです
今日は、
この品物を気に入って
大事にしてもらえるのなら
無料で、差し上げても構わない
と思うほどの日和なのです

左足に、
絡み付いた鎖が食い込んで
血がにじんでいる
猿回しの猿を哀れむ人はなく
気の利いた狸ならば
とっくに狸汁になって
のんきに腹鼓を打っている
と意地悪く囃されても
食べるものが欲しくて
なんべんもなんべんも宙返りする

見ているだけで、
左足に絡み付いた鎖が痛い


自由詩 盲目に値するもの Copyright あおば 2003-11-26 01:25:43
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