ペンギンの夢
秋葉竹




ペンギンの
夢をみながら濡れている
頰と枕に朝、気がついた



雨音が
安心させてくれている
今夜は嫌じゃない、眠ること


「恋に落ちた
君がバカなんだよ」と言う
うわ目づかいの、大きな黒目


恋ってさぁ
ブランコみたいに懸命に
漕がなきゃ日々に、ただ流される


朝焼けの
街にふたりはふたりぶんの
思慕を感じた、少女の吐息


好きな部屋
って君の寝てるここ
理由は訊くなよ、ただ香るんだ


陽だまりの
大切ささえ知らぬまに
毒を飲まされ大人に、された


晴れた日に
なぜ見うしなう真実の
綺麗な塔へつづく、砂利道


滅びゆく
さだめのなかでひたすらに
生きることだけ、見据えろにんげん


こっそりと
虹には道がある嘘を
耳うちするのは、耳たぶ噛むため


あきるより
さきに死ぬんじゃないかと想う
たぶん死ぬまでつづくよ、ふたり。













自由詩 ペンギンの夢 Copyright 秋葉竹 2022-03-12 19:50:26
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