豆電球と友だちになる
竜門勇気


体中いたくてしょうがなかった
しゃべっているといくらか気が紛れた
ぼくの憂鬱はどこにもいかず
ベッドのうえでひまをつぶしてる

ひるまに眠るような仕事をしてる
よなかはずっと走りまわってる
雨がふるまえに星をみてる
今日がおわるまえに明日をさがしている

とにかくしゃべってるあいだは
どうやって息をしてるかとか
十秒先につながる一秒とか
今、のことは忘れてられる

ひるまに眠るときも
暗闇にならないように
ずっと
仕事に出かけるときも
ずっと
暗闇がぼくのベッドに居座らないように

フィラメントの切れた電球を
また一つ机の引き出しにしまいながら
誰にも明かしたことのない秘密を
電球に話す
暗くも明るくもない場所に
ずっと暮らしていたかった
ずっと思い出して生きていたかった



自由詩 豆電球と友だちになる Copyright 竜門勇気 2022-03-12 12:42:54
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