初春の予感
ひだかたけし

夢見と現実が交差する
初春の昼下がり
独りの透明なたましいが
時の静謐にいだかれ覚醒する
輝く光の帯に乗り
生まれ来た
あの至聖の場所に至ろうと
麗らかな春の陽射しに眼を見開く

(薄い皮膜で隔てられた現実は
渦巻く予感に静かに佇み
青い微光を放ちながら
独りの魂の彷徨を導く)

夢見と現実が交差する
初春の昼下がり
独りの透明なたましいが
膨らむ若芽を見つめながら
現の根を掴もうと手を伸ばす

もどかしさとあこがれに満ち満ちて
うっすらと醸す異様な気に包まれて






自由詩 初春の予感 Copyright ひだかたけし 2022-03-10 18:24:11
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