アースランテ対ラゴス(八)
おぼろん

アイソニアの騎士は巧みにガイザ・ネハの視線を避けた。
これは、彼が一定の魔法の知識を身に付けていたことを意味する。
エミル・アザルは舌打ちする。
ガイザ・ネハを召喚できる時間には限りがあったのである。

これは、幽冥界から召喚する魔物たちすべてに共通することだが、
その召喚時間は一定ではない。
長くこの現世にとどまる者もあれば、
いち早く幽冥界に帰ってしまうものもある。

ガイザ・ネハは後者だった。しかし、ガイザ・ネハも
一定の成果を挙げた。アースランテの騎士たちを、
混乱の渦に巻き込んだのである。これはエミル・アザルの勝利である。

当初一万五千いたアースランテの兵たちは、
その数を五千以下にまで減らしていた。大惨敗だと言って良いだろう。
こうして、初戦でのラゴスの利益は守られたのである。


自由詩 アースランテ対ラゴス(八) Copyright おぼろん 2022-03-06 22:18:35
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クールラントの詩