アースランテ対ラゴス(五)
おぼろん

アイソニアの騎士と、エミル・アザルは、
空中で錐揉みしながら戦った。
アイソニアの騎士は長剣で、エミル・アザルは短剣で。
しかし、アイソニアの騎士の剣はなかなか一歩までとどかなかった。

エミル・アザルが何重もの結界で、それを防いでいたからである。
アイソニアの騎士は、魔剣でもってその力を削いでゆく。
エミル・アザルが結界に気を取られているころ、
幽冥界からの魔物は減少していた。

誰しも二つの事柄を同時にはできないのである。
そこを、アイソニアの騎士も狙っていたのだと言って良い。
アースランテの千人隊長たちはうなった。

「彼こそが、この国を真に率いていくべきではないのか?
 彼をこそ、千人隊長に推すべきである」
それは、アイソニアの騎士にとっても願ってもない助言だった。


自由詩 アースランテ対ラゴス(五) Copyright おぼろん 2022-03-05 20:38:30
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クールラントの詩