はるな


わざと生まれた
でもこのためじゃない
そう思う余地も残らない
知っていたと思う
愛することや
あたたかいこと
つめたい風のしたに眠る種たちが
さんざん踏みしだかれても
春になれば芽吹くこと
けれども吹き飛ばされれば
もちろんそれが叶わないこと
名づけようのない感情が溢れかえり
いくつも消えたこと
日常がとたんに遠近感をうしなって、
息を吐くにも理由が必要になりそうだ
日々や愛や
そのあいだにまばらに広がる
いくつもの普遍を
奇跡にしないでくれよ
そのためにせまいベランダに
種を撒いて 水を撒いて
願っても願わなくても同じなら
願うんだよ


自由詩      Copyright はるな 2022-03-04 16:30:43
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