アネモネ
ちぇりこ。
花は
花としての言葉を失い
季節もまた色を失う
渡し損ねた言葉があるように
雨もまた
流れてゆくのだろう
春の窓辺を飾るもの
無言の結露
人見知りの鳥たち
か細い茎の名前の知らない花
モノクロームの印画紙に焼き付いて
静寂な騒乱は
あたたかい泥土にのまれてゆく
またひとつ
見知った花弁が
散ってゆきますね
篝火の列が
あの緑地へと向かう
アネモネ
静かな灯火を点す
胸の中で、見送る瞳
自由詩
アネモネ
Copyright
ちぇりこ。
2022-03-04 15:01:04
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