9カ月
葉leaf

9カ月になった君は人間の芽である。これまで可能性としての種であった君は複雑に発達することによりついに芽として外界の光を吸収し始めた。君の眼はもっとも愛しい人ともっとも恐ろしい人を瞬時に見分ける。君の手には君の精神が流れ込み外界のあらゆるものに触れていく。君はまだ言葉を持たないが君の世界は言葉とは異なった仕方で世界を分節している。君は言葉を持たない、だからこそ君は私に触れてくる。君は言葉を持たない、だからこそ君は泣くことと笑うことで私に自らを伝達する。言葉とは文化の障壁だ。障壁のない君と私は今もっとも純粋な形で触れ合い応答しあっているのだ。夜泣きは私たちの睡眠を妨害し私たちを疲弊させた。夜泣きという一つの災害としての君は、同時にその存在で私たちを潤す一つの修復である。君は多様な災害として私たちに試練を与え私たちをその克服により大きな喜びへと導いていく一つの芽である。


自由詩 9カ月 Copyright 葉leaf 2022-03-03 05:48:21
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