夢のあとさき
塔野夏子
夢を炎やしたのか
夢に炎えたのか
いずれにせよそれは炎で
炎えてゆくほどに
透明な翳りを深め
深く潜るほどに
見えてくる星空
遠くからの呼び声
幾人もの自らが
自らへと呼びかける声
幾重もの来し方が
幾重もの行く末へと
反響し
どちらが来し方で
どちらが行く末か
めぐりめぐる
やわらかな円環
その中央
とめどなく流れ込むもの
とめどなく溢れ出すもの
虹 風 樹々のざわめき 闇……
苛む痛みも超えて
超えてわたってゆく
わたってゆくにつれて
生まれゆく橋
炎は尽きるようで
尽きず
透明な翳りをまとって
踊る
踊るひとのための連祷が聞こえる
潜るほどに見えてくる
星空の静寂から
来し方から
行く末から
わたってゆくにつれて
生まれゆく橋の彼方から