夢のあとさき
塔野夏子

夢を炎やしたのか
夢に炎えたのか

いずれにせよそれは炎で
炎えてゆくほどに
   透明な翳りを深め

   深く潜るほどに
   見えてくる星空

遠くからの呼び声

   幾人もの自らが
      自らへと呼びかける声

   幾重もの来し方が
   幾重もの行く末へと
      反響し

      どちらが来し方で
      どちらが行く末か

   めぐりめぐる
   やわらかな円環

      その中央
      とめどなく流れ込むもの
      とめどなく溢れ出すもの

         虹 風 樹々のざわめき 闇……
         苛む痛みも超えて

      超えてわたってゆく
   わたってゆくにつれて
   生まれゆく橋

      炎は尽きるようで
      尽きず
   透明な翳りをまとって
   踊る

踊るひとのための連祷が聞こえる

潜るほどに見えてくる
星空の静寂から

  来し方から
  行く末から

わたってゆくにつれて
生まれゆく橋の彼方から



   


自由詩 夢のあとさき Copyright 塔野夏子 2022-02-27 11:29:20
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