deeeper!
竜門勇気


どんな壁が
僕らを分かったのか
何度も思い出せばいい
暗い影の奥で
しまい込み忘れたナイフは
もう誰を刺したかなんて忘れてる

黒い影を塗りつぶして
冷めた豚肉をフォークで弄ぶ
臭うセーターの袖に
顔をうずめて眠りにつく

甘い言葉で騙された人々と
苦いドアを今日も開ける
白い空気に笑っていた
白い空気に淀んでいた

ある日僕はぶっ壊れる
ある日僕は僕じゃなくなる
鍵を壊して錠を探す
何も囚えられない首輪を持って

いままで
誰が救いの手を差し伸べてきたのか
何度でも考えればいい
この闇に潜んでる
化け物のことも考えればいい
深い深い底で
這い回る化け物が
深い深い底の中で
降り積もる雪のようにおどる

深い深いガラスのコップの
澱の中にいる僕らのように

あの壁はまだ底にある
あの壁はまだそこにある
あの壁は潜んでいる
あの壁はそこにある



自由詩 deeeper! Copyright 竜門勇気 2022-02-26 11:19:19
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