魔導士と正魔導士
朧月夜
魔導士のなかには、国家に認められた正魔導士と、
そうではないものとがいる。すなわち、国家に忠実なるものが、
正魔導士で、そうではないものが野良の魔導士である。
エインスベルは後者の魔導士であった。
エインスベルは、これまでも述べてきたように、
自分の指針・信条にのみ従う魔導士であった。
いつ敵側に寝返るとも限らない、疑わしき魔導士である。
(実際はそんなことはなかったのだが……)
エインスベルをクールラントの敵とみなす勢力は、
彼女がクールラント一の魔導を身につけて以来、数多くいた。
そして、彼女を現世から葬り去ろうとしたのである。
祭司クーラスがその一例だ。彼は、事あるごとに、
エインスベルを排斥しようとしてきた。そして、この度の一件がある。
それは、アイソニアの騎士のアースランテへの亡命である。
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クールラントの詩