遠い身体
asagohan

風呂に沈んだ
身体が遺跡に見えた。

柱のように突き出た腕。
その虚像は
透明になって
水底を示す。

膝小僧の下に沈む
屈折した太もも。

揺らめき
遠くて
藻が生えるくらいには
時間がばかりが過ぎているようだ。

シャワーが頭から降り注ぎ
浮力は遺跡を反転させる。

丸くなった背中が
はじまりの温かい水の中を覚えている。

人は遺跡。

愛が創って
愛が去った
遺跡。


自由詩 遠い身体 Copyright asagohan 2022-02-06 21:52:09
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