ともし火のような無人駅をあとにして
山人

雪は身じろぎもせず降っていた
無人駅のホームはすでに雪で埋め尽くされ
その明るさはほんのりと
ともし火のように浮かんでいた

ストーブを消し、鍵を閉める
無人駅の除雪番からの帰りしな
積雪はついに
四メートルに近づきつつあった

冬の胎内に村人は棲み
少しづつ動きながら
春を夢想する

二つ目の急なカーブから見えるホームは
静かに、ぼんやりと灯りを発して
冬の只中に居た



自由詩 ともし火のような無人駅をあとにして Copyright 山人 2022-02-05 19:54:02
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