神様のため息
◇レキ

神様がため息をして
意味もなくチーターを産み落とした

落ちたチーターはあみだくじで
バイソンの群れに住むことが決まった

チーターは足が速いこと
毛に変な斑点があること
痩せていること
草が食べれないこと

バイソンとの違いをことごとく恥じた

そして毎日努力した
いつも遅く走ることに気を使い
毛は毎日泥を塗って隠し
太るために必死に草を食べた

そして遅くしか走れなくなり
毛は泥で隠れたが、決して太ることは出来なかった

チーターは苦しさを自覚しなかった
ただ自分は痩せているが
それなりにうまくやっていると思うだけだった

数年後
素知らぬ顔して神様が裁定のためにやってきた

バイソン達は楽しそうに神様と談笑した

チーターはそれを後ろで聞きながら一生懸命草を食べた


泥まみれでひょろひょろの何かが
一心不乱に草を食みのろのろと歩く様を、ふと神様は一瞥し言った


「あ、あいつ死刑ね」


チーターはそれを聞いて愕然とし
そして(ああ、太れないのが悪いんだ)と絶望した


自由詩 神様のため息 Copyright ◇レキ 2022-02-04 00:30:04
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