かなしい、さかな
望月 ゆき
手をつないで
深いところまで、いってしまった
引いてゆくまにまに
記憶の砂がすれあっては
かすかに音をたてる
ノートブックの波に
毎日つづった、日記
夕立ちをよけて、キスをして、
ときどき、黙った
ねえ
わたしたちの夏は終わってゆくけど
かわらないものも、あるね
セロハンの水面
転写された、北極星
を
めじるしに
わたしたちはいつまでも
触れあえないまま
さよならだけを、すりぬけてゆく
どこまで泳いでも
かなしい、さかな
自由詩
かなしい、さかな
Copyright
望月 ゆき
2005-04-30 02:10:37
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