母との再会(二)
朧月夜

「はい。わたしは貴女の娘、エインスベル」です。
「エインスベルか……、あの頃はたしか十歳だったはずだが。
 立派に成人したのだな。しかし、お前がここにいるということは?」
「ええ、叔母ミーガンテはわたしが捕縛しました」

「なんということを……。エインスベル、それではまた政変が起こる」
「政変はすでに起こったのです。母上、玉座にお帰りなさいませ」
エインスベルは微笑みながら言った。しかし、マリアノスは首を振る。
「否。ファシブルの国は力ある者が治めなければいけない」

「貴女こそそうなのです、母上。ミーガンテはこの国を堕落させました」
「わたしはそれに似つかわしくない。エインスベル、お前が王位につけば良い」
「それは出来ません、母上。わたしはすでに魔導に染まったものです」

マリアノス・アリア・ガルデは首を傾げる。
「わたしの師は、かの魔導士オスファハンなのです」エインスベルが言う。
「なんと。お前は、復讐のために魔法を身に付けたのか?」


自由詩 母との再会(二) Copyright 朧月夜 2022-02-01 23:33:46
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩