ミーガンテ対エインスベル(七)
朧月夜

「エインスベル、なぜ我が味方とはなってはくれぬのか?」
「奴隷としてわたしを売りに出した、貴女が言うことではないでしょう」
「すべてはオスファハンがいけなかったのだ。彼も殺しておくべきだった」
「後悔をしても始まりませんね、すべては貴女の企みが発端でしょう」

ミーガンテ・アリア・ガルデは、初めて恐怖しておののいた。
エインスベルがこれほどの魔導士になっていようとは、知る由もなかったのだ。
「エインスベルよ、もう一度頼む。我とともにファシブルを再興しよう」
「そのファシブルを貶めたのも、貴女なのです」

エインスベルは冷淡な口調で言った。
ミーガンテ・アリア・ガルデは自らの唇を嚙み締めた。
「やはり、あの時に殺しておくべきだったのだ。自分は甘かった」

「すべては運命です。叔母上。ファシブルが没落したのも」
「ファシブルは没落などしていない。これから、ヨースマルテの覇者となるのだ」
「妄言ですね」エインスベルは一蹴した。


自由詩 ミーガンテ対エインスベル(七) Copyright 朧月夜 2022-01-31 21:52:54
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クールラントの詩