冬の雨/夜
ちぇりこ。

白く切り取られた窓枠を
鋭角の冷たさで打ちつける
無数の横顔が
冬の静脈に溶け込んでゆく

*

血の色をした道標を
ひとつ、ひとつ
指で辿りながら
埋葬した言葉を
ひとつ、ひとつ
忘れてゆく

*

とくん。
心臓のあたたかさに触れたなら
思い出すと良い
かつて白い冬からの便りに
心躍らせて眠りについた
あの夜のことを

*

あなたは
わたしの手をとり
わたしは
あなたの呼吸の速度で
立ち枯れてゆく

*

冬の頂きを知るもの
冬の瞳を持つ寂しい生きものだけが
静かに寄り添い
あらたな悲しみを生む

*

白く冷たく雨は咲く




自由詩 冬の雨/夜 Copyright ちぇりこ。 2022-01-27 23:18:05縦
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