復讐への旅路(四)
おぼろん

エインスベルらの旅は、すでに四分の三の過程を終えていた。
周りは依然として、鬱蒼とした森の中である。
そこで、アイソニアの騎士が口を開いた。
「ここまでの旅は穏やかだったな。ワイバーンやドラゴンも現れなかった」

それに対して、エインスベルは言った、
「ワイバーンは乾燥した土地を好む。ユーラディアの谷には現れまい」
「しかし、万が一ということもある。ミノタウロスが現れないとも限らない」
「ミノタウロスか。厄介な亜人だ。彼らは戦うことしか考えていない」

「今後はドラゴンが現れないことを祈るばかりだ。
 湿潤な土地を好むものもあるであろう? とくにシルバー・ドラゴンだ」
「それよ。この旅路にはまだ幾多の困難が待っているに違いない」

「今日は比較的長く話したな、エインスベル」
「いつもこうであると良いのだが」という言葉を、アイソニアの騎士は飲み込んだ。
「友人とは無口であるべき存在だ」と、エインスベルは答えた。


自由詩 復讐への旅路(四) Copyright おぼろん 2022-01-25 17:57:16
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩