揺 曳
塔野夏子

時は傷
   風は闇

虚空に揺れる鞦韆

水の衣装の傾きをたどる手から
   こぼれるやわらかい音符

   三日月の尖端から滴る
         蜜

 (  ( ((波 紋)) )  )

遠くで蒼い電信

   鞦韆を揺らしたのは 誰

      ちいさな痛みたちが
         星座のふりをする

水の意匠の傾きをたどる手から
   こぼれるやわらかい休符

      のあいだをさらにたどって

   傷は時
      闇は風

      波打つ虚空の界面から
         ゆっくりと 剥がれ落ちるまで






自由詩 揺 曳 Copyright 塔野夏子 2022-01-25 13:50:55
notebook Home 戻る