復讐への旅路(二)
朧月夜
ユーラディアの谷には、鬱蒼とした樹々が繁っていた。
もちろん、その道は昼間でも薄暗い。こんな道を通るのは、
人に見られてはまずい物を運ぶような、商人だけである。
その道すがら、エインスベルは様々な木の実や葉、根を集めていた。
それは、魔法薬の原料となるものである。エインスベルは、
背嚢にそれを詰め込んでいく。アイソニアの騎士も興味深げに見つめていた。
「さて、ここからは魔物たちも現れる危険な土地だ」
と、エインスベルはその同志たちに向かって告げた。
最初に現れたのは、オパ・ビアの群れである。
オパ・ビアというのは、粘液質の流動生命体である。
オパ・ビアには、剣やハルバードなどは通用しない。
すぐに分裂して、それぞれが再生してしまうからだ。
エインスベルは炎の範囲魔法によって、オパ・ビアの群れを焼き払った。
「俺の出る幕はないな」アイソニアの騎士は苦笑した。
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クールラントの詩