裸婦
末下りょう
若く美しいモデルもまた画家をみつめている
背景は色彩を分割する役割しか与えられず
一つの静物も足されない
窓からの景色はいつまでもあらわれることなく
遠近法を考慮する必要のない構図から美しい足は追放された
艶やかな陰毛のために
若く美しいモデルもまた翌朝には浅い呼吸をぴたりと止めて
かすむ瞳を壁に逸らし
画家のいない窓辺をみつめながら
平行四辺形の
腐りかけた果実になる
自由詩
裸婦
Copyright
末下りょう
2022-01-24 12:47:35