呼吸
日々野いずる

息を吐く
冷たい空気を吸う
飛来する虚ろの目と目を合わせる
最適化した言葉でニンゲンらしくする
完成の美しさを
手に入れることはなく
爪をはじく
ニンゲンらしくなる

冬と話したなら目の奥をつけ
なにも見えない暗闇の星に
海の星をかかげて打ち上げ
はじける音の炭酸さは
耳を痒くさせる

陽が君の影になり
真っ黒な木の影の中に
明度の違いを薄く浮かばせる
足あと遊びの砂浜
頭の中でだけ鮮明な
有ったと思った思い出の無かった事
どっちでもよくて
今日がたのしい
酒でも針金でもいい
頭をかきまぜる
脳髄引きずり出した想像ばかりする

目が霞み手は震え
羊のツメをのばした姿が
冬になる


自由詩 呼吸 Copyright 日々野いずる 2022-01-22 16:28:24
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