水の世
soft_machine
はてしない水に
あらわれた沖という感じ
子どもらが
ゆびでつくったさんかくを
ひろげるとみち
こえにだすと
胸にひびくはてしなさ
どこまでもつづくうねりへは
近づきすぎてはいけない
離れてもゆかない
あらゆる風をまとう
しずまぬ町を
さがしても無駄になるだけと
ふるい葉書にあった
思い出として
無限のチェロになるばかり
よこ顔だけを見ていたかった
吹かれてとがり
あなたがたにはさまれて響く
ひみつを択びひろがせる
水のみね
水のたに
水のほらあな
すべての日々を氷塩にして
しかし空にはとどかない
よろこびもかなしみも
むくわれず結晶するいのち
ただ、とおざかる
だってごらん
一切がふるえてるでしょうそこが沖
いなびかりに落とされ
たつまきにかき回され
みえかくれする小枝に
のこされた小禽の足があり
ふくらんだまま波にたべられ
ぷかぷか漂う
東西経
あるいは南北緯
鮫でいっぱいなのかしらん
そこは虹のはじまりとおわり
きらとかがやいてはいるが
入口も出口もなく
ゆれるまど枠をつかみ
耳をすませばひとつの予感がするだろう
はてしない水は
いつまでもうつくしい未開の惑星
一頭のくじらが
神さまとまう