永遠の嘘
秋葉竹



とおりすぎていった
幸せを想いかえして
その美しいときに嘘はなかったと

時間だけ
静かに
過ぎていっただけなんだと


抛り捨てられた
七色の夢と希望に未練を感じ
感じながらも鈍感を装い
ただじぶんを騙すように生きている

だれか、僕の声が聴こえるという
真っ赤な嘘を
だれか、僕の気持ちがわかるという
優しい嘘を
ついてくれはしないだろうか?


音の無い世界
更けゆく夜に
飛翔する白い肌の天使

歯噛みしたくなるほど
遥か遠くにみえる
奇跡みたいな幸せな時間を

みんなと一緒に笑っている
泣きたくなるくらいの、その永遠の遠さを

だれに、聴こえているという
この、たったひとりの病いに冒された
永遠の嘘を

あってはならない真実の世界の廃墟

だれにもが憧れる
麗しい白い天使の翼持つもの
ひとり佇む、夜の永遠の向こう側

だれにだけは、
聴こえているという?









自由詩 永遠の嘘 Copyright 秋葉竹 2022-01-22 11:22:11
notebook Home