ノラ猫が垂直に横切る街
室町
公園のベンチに住む男が
冬空に手を伸ばしている
どうも3°ばかりズレている
寝心地が悪い
世界が3°傾いていることが
遠くからみてもわからないのは
みている者も3°傾いているからだろう
そうなるまでに2000年かかったとして
倒れるのはあっという間だ
そのときかれは都市に対して
直立する
もうかれはだれにも見えない
公園もない
都市もないかれの場所を
一匹のノラ猫が垂直に横切るだけだ
自由詩
ノラ猫が垂直に横切る街
Copyright
室町
2022-01-20 16:18:39