短歌にも成れない愚かな詩の残骸
TAT
はじまりは夜の公園で
同級生とタムロしていて
そして煌々と
自動販売機は虫達を従えながら
少年を挑発するのだった
マイルドセブン
マルボロ
クール
セブンスター
ラッキーストライク
高校の頃は
下校途中に
教師と遭ってしまった時のために
瞬間的に
中指の手技で
遠くの舗道まで
吸っている煙草を弾いて飛ばした
し
それらの技術を研鑽する事が
仲間内で大いに奨励された
昔
映画館の赤い
ビロード張りの椅子の肘掛けには
みんな
灰皿が付いていて
誰も彼も
映画を観ながら煙草を吸っていた
し
バスも電車も
職員室も病院にも市役所にも
吸い殻が山盛りで溢れてた
その後
電車の中では
なぜか吸えなくなって
皆
文句タラタラだった
当然
鉄道のホームには灰皿があって
煙草を吸いながら
電車を待って
電車が来たら
煙草を灰皿に押し付けて
電車に乗り込んでいた
更に後年
灰皿は
ホームの果てのはてまで
追いやられて
タバコ飲みは皆
だらだら
だらだら
不満を垂れた
チン!
と
キン!
の間の音で鳴る
ジッポーライターの音に憧れて
出来るだけ年代物のライターを
各々手に入れて
こまめにオイルを綿に染ませて
石を替えて
指に油の匂いが付いて
しかもそんな指をそのまま
彼女の陰唇に滑り込ませて
必死に一生懸命
加藤鷹のモノマネみたいなセックスに現を抜かしてそして逝ったら死んだように眠ってそして
翌日また9時18時の解体現場で
日銭を稼いで
あの子は将来を憂いてたけど
俺はあの子の言語がまだよく理解出来なかった
そんで
もちろんあの子も喫煙者で
もちろん夕陽はまだ赤かった
十年以上経って今
次元大介が
うまい棒のチーズ味かなんかに
火を付けて吸っててくれたら
俺もこんなに
肺を病む事はなかったのになと
真剣に思う