宿敵(五)
朧月夜
オークの力は人間の何倍も優れている。
しかし、三十余名の戦士が相手では、オークたちの能力にも限界がある。
ましてや、フランキスは戦士であるとともに魔導士でもあった。
少しずつ、少しずつ、アイソニアの騎士たちの威力はそがれてゆく。
フランキス・ユーランディアはアイソニアの騎士との一騎打ちを望んだ。
今さら躊躇はしていられない。フランキスは魔術を使う。
アイソニアの騎士は、魔剣ゾフィアスでそれを退ける。
一対一の攻防は果てしなく続いた。
オークの傭兵たちは、フランキスの配下によって次々に倒されていった。
フランキスはアイソニアの騎士の相手をする傍らで、援護魔法をも使っていたのである。
フランキスの配下は、戦いの神ヤーゴラスの庇護を受けた。
情勢は、圧倒的にフランキスの有利であった。
オークの兵の半数が失われた時、アイソニアの騎士は撤退を決意した。
アイソニアの騎士の人生において、それは何にも勝る一番の屈辱だった。
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩