宿敵(三)
おぼろん

フランキス・ユーランディアはそれでも諦めなかった。
ナルムの洞窟の奈落に落下しても、
フランキス・ユーランディアは奇跡的に一命を取り留めたのである。
フランキスを介護したのは、その恋人であるマゼンタ・クレアである。

「どうすれば奴を倒すことが出来るであろうか?」
フランキスはマゼンタに尋ねた。
「それでは、刺客を送り込みなさいませ」マゼンタは言う。
「それは受け入れられない」フランキスは頑なに拒んだ。

どうしても、アイソニアの騎士を討ち取らねばならない。
フランキスは、アイソニアの騎士が悪だということを確信していた。
何よりも、アイソニアの騎士には魔女エインスベルがついている。

「国家の禍根は取り除かねばならない」フランキスは一人ごちた。
「一人の例外もあってはならないのだ」そうでなければ、
国家という一つの秩序が失われてしまう。


自由詩 宿敵(三) Copyright おぼろん 2022-01-12 16:12:32
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
クールラントの詩