祭司クーラス(五)
おぼろん

祭司クーラスの陰謀は、戦士エイソスにまで及んだ。
というより、戦士エイソスこそが、祭司クーラスの最後の標的だった。
すなわち、戦士エイソスにアイソニアの騎士を殺させるのである。
祭司クーラスは、魔導士エインスベルが戦士エイソスをも愛しているのを知っていた。

それはもちろん、愛欲のような愛ではない。
神の栄光に包まれるような、至上で無垢な愛情である。
祭司クーラスはこれを利用しようとした。
なんとかして、戦士エイソスにアイソニアの騎士を殺させようとした。

戦士エイソスは国家にとって常に忠実な者である。
祭司クーラスは、国家とは一つの生き物のようであれば良い、と思っていた。
アイソニアの騎士のような、独自の思いで生きる者は必要ないのである。

そして、祭司クーラスの思惑は成功しそうだった。
妖精ファロンを介して、徐々に戦士エイソスに対して、
アイソニアの騎士への不信を募らせるように仕組んでいったのである。


自由詩 祭司クーラス(五) Copyright おぼろん 2021-12-27 08:33:29
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クールラントの詩